北海道大学トポロジー理工学教育研究センター

トポロジー関連新技術開発プロジェクト

光・音波を用いた測定は、波長、強度、位相、偏波方向、帯域、パルス時間幅といったパラメータを制御することにより、非接触・非破壊で測定対象の様々な物理情報を抽出することができます。本プロジェクトでは、光や音波を利用して「トポロジー理工学」研究の基本ツールとなる新しい測定技術・解析技術・加工技術の開発を行います。癌などの生体組織異常が作るネットワークのトポロジーは正常組織のそれとは異なることがわかってきましたが、本プロジェクトではこのネットワークトポロジーを抽出するために、非接触・非侵襲という光・音波計測の特長を活かした生体組織の可視化技術の開発を行います。「臨界系・生命系トポロジー理工学研究プロジェクト」のネットワークトポロジー不変量解析法とこの技術を組み合わせることにより、非接触・非侵襲の定量的診断法の開発を目指します。さらに、ネットワークの静的トポロジーだけでなく、その時間変化や生体内物質の流れの可視化が実現すれば、新しい生体組織異常の識別・診断法が可能となります。

また、トポロジーを利用する技術の開発も行います。トポロジーの概念を有する量子情報"トポロジカル量子情報"は重ね合わせ破壊の問題を解決する鍵として期待されています。本プロジェクトでは、トポロジカルな変数であるベリー位相を制御する光学的量子ゲートを開発し、この重ね合わせ破壊の問題の解決を図ります。

本プロジェクトの基礎となる技術の一つとして、私達はこれまでの研究において、フェムト秒(10-15秒)の時間幅をもつレーザーパルスを用い、固体の表面(平面)に励起される表面弾性波の変位を可視化することに成功しました。本プロジェクトでは、球やリングをはじめとする曲率を持つ表面での弾性波の伝播を実時間で可視化する技術を開発し、測定と解析を行います。トポロジーの違いが弾性波の伝播にどのような影響を及ぼすのかに注目して研究を進めます。



固体の表面(平面)に励起された表面波の可視化

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